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今日はお母さんの代わりに買い物へ行ってみた。私の母親は人に頼るのが本当に苦手な人で、やっておくから休んでていいよと言われると逆に気になって落ち着かなくなるし、側であれもこれも手伝われたらいつもと勝手が違ってしまうからと鬱陶しがる。長い間誰もまともに助けたことがないから、母親としてそう育つしかなかったのかもしれない。
でも今日は散歩に行ってくるからついでに買い物してくるよって言って、お使いできた。少し嬉しかった。続けて行こうと思う。
そんな買い物の帰りに少し散歩をしたら、夏を見つけた。
小中の通学路を散歩コースにして帰った。通る度に小学生時代のことを思い出すような道で夏を見つけたら、学校のプールが大嫌いだったことを思い出した。
それから、こういう場所が嫌いだった。
どうしてだか憂鬱をばら撒いたような印象を受ける。みんな所在無く、見ていると不安になる。足を踏み入れたらすぐに混ざってしまいそうな気がしてくる。
錆びたブロックや捨てられたタイヤとワタシの区別がつかなくなって、誰にも気付かれなくなったら誰も迎えに来てくれないだろうな、と思うとあんまり心細いから走って家に帰りたくなるんだけど、そういうところも嫌だった。
今は、何と無くだけどプールも良いかなとか、こんな場所も煙草を吸うのに良さそうだなとか思うようになっていて、あの頃より世界は、少しだけど広がったのかななんて思ったりしてる。気のせいかもしれないけど。気のせいじゃないと良いなって思いながら。
麦茶のグラスに氷を入れた。夏が来たよ。