私は今まで、誠実丁寧に生きたことがない。大目にみてやれば少しくらいはあったかもしれない。でも大目になんてみてやらない。
私は今まで、誠実丁寧に生きたことがない。一瞬も。

責任てやつは何処にでもいる。こっちを厳しい眼でじっと見てる。責任は手を繋いだやつにしか味方しない。責任は最後まで手を離さなかったやつにだけご褒美をやる。でも私は責任のその厳しい眼からいつも逃れようとしてた。だって凄く恐い。あいつ恐い。だから手を繋ぐなんてしたくなかった。でも繋いだフリして誤魔化すことはあった。格好だけはつけたかったんだ。だからとりあえず繋いで、恐くなったら振り払って逃げてた。追い詰められる度にそばにいる人の手をとって目の前の責任と手を繋がせた。私は繋がない。逃げたいから。

ずっとずっとずっと、そうやって生きてきたんだと思う。だから何にも出来ないし何にも無い。私は私のせいで私なのだ。

もういい加減にしないとねって枕が言う。逃げるが勝ちは嘘だって知ってる。布団は優しいし、酒も薬も煙草もカンタンだったけど、もういい加減にしないとねって枕が言ってる。

責任が私を睨んでいる。